先輩が見せた、本気の電話一本
QAの期限を過ぎたあと、先輩から「なぜこれが終わっていないのか」と問われました。
私は「担当者へリマインドメールはしたのですが、忙しそうで対応が難しそうでした。今週中にはやってくれるみたいです」と報告しました。
このQAは、期限が守られないと後続のベンダー作業に影響するものでした。
その報告を聞いた直後、先輩はすぐに動きました。電話で担当者に直接連絡を取ったのです。
「申し訳ないですが、絶対に今日中にやりきってください」
語調ははっきりと強めながらも、相手の状況を踏まえた「お願いします」というスタンスは崩さず、最後までしっかりと依頼を伝えていました。その後、担当者が出勤したタイミングで、直接フォローアップまでしていました。
その姿を見て、自分の未熟さを知るとともに、先輩のラストマンシップに驚きました。
同時に、心のどこかで安心している自分にも気づきました。「この先輩がいれば、最後は何とかなる」。そう思っていたからこそ、自分はメールでリマインドするだけで満足していたのかもしれません。
結果として後続タスクの遅延は防ぐことができました。ですが、それは先輩が動いたからであって、PMO業務を最後までやりきれていたことにはなりません。
QAの期限そのものは守ることができず、メールを送るだけで「自分はやることをやった」と思い込んでいた自分の甘さを、このとき初めて痛感しました。
頼れる先輩がいるからこそ
この経験から、私はアプローチ方法を変えました。先輩がいつでもフォローしてくれるという安心感に甘えず、自分自身が最後まで責任を持つことを意識するようになりました。リマインドは引き続き行いますが、それだけではなくなりました。
一定のリードタイムが必要なToDoやQAについては、期日まで余裕があっても早めに伝えるようにしました。後続タスクの有無を確認し、優先度を組み直してから担当者に伝えるようにもなりました。
また、いつもリモートで作業している多忙な担当者に対しては、なんとか15分だけでもスケジュールを確保してもらい、一緒に内容を確認する機会を設けるようにしました。メールだけでは伝わりにくいことも、直接話せばその場で解決できることがあると気づいたからです。
さらに、自分の働きかけで作業が進まないときは、先輩や同じプロジェクトのメンバーも頼るようにもなりました。ただし、それは先輩に「任せる」のではなく、自分が動いた上で必要な時に力を借りるという意味でした。
実際に自分が直接依頼しても動いてもらえない場面でも、異なる立場・視点からお願いすることで、すぐに対応してもらえたことが何度もありました。
ラストマンシップとは、解決するまで自分事として動き続けることです。それはどんな場面でも共通して取るべき姿勢であり、たとえ小さなタスクであっても、最後までやりきる行動の積み重ねがプロジェクトの成功へとつながっていきます。
上司がいても、自分でやりきる
どんな仕事でも、最初のうちは任される範囲が限られている分、「自分の仕事はここまで」と線を引きやすいものです。単調な作業が多いなかで、自分のタスクがどこまで周りに影響しているのかも見えづらくなります。
今回の私がまさにそうで、リマインドを送った時点で自分の役割は終わったと思っていました。
頼れる先輩がそばにいることは、心強いものです。しかし、その安心感は、PMO業務への向き合い方を甘くする理由にはなりません。先輩が最後の砦になってくれるからこそ、自分自身のラストマンシップはむしろ手放してはいけないものだと、この経験を通じて学びました。
まずは自分が担当する小さなタスクの中で、自分事化してやりきる姿勢を持ち続けてほしいと思います。それを積み重ねていくことで、プロジェクトから必要とされる人になっていきます。
「上司がいるから、大丈夫」ではなく「上司がいても、自分がやりきる」。この違いが、任されるPMO業務の大きさを決めていくのだと思います。