「とにかく早く仕上げることが正しい」と思っていた
それまで私は、「早く完成形を作って先輩に見せれば、期待値に合っているか確認できる。修正があればそこから直せばいい」と考えていました。
「素早く動く」ことが、仕事のできるビジネスパーソンの条件だとも思っていました。
でも、それは間違っていました。
目的・段取り・粒度がわからないままタスクを進めることは、「素早く動く」のではなく、「タスクの目的理解や相手の期待値確認を後回しにしている」だけだったのです。
先輩から教わった「10〜20%の法則」
先輩が話してくれたのは、こういうことでした。
「完成形を早く作り上げることよりも、10〜20%程度の完成度のアウトプットで、前提となる目的・段取り・粒度についてタスクの依頼者と認識を揃える方が大事だよ。前提で認識のずれがあると、やり直しになりかねないから。すぐに作業をはじめるよりも、前提事項をすり合わせておくことのほうが、結果的に早いことが多い」
さらに、こんな言葉もかけてくれました。
「『聞くは一瞬の恥だが、聞かぬは一生の恥』って言うけど、わからないことをわからないままにせず、自分なりの考えや理解を整理した上で、勇気を持って聞くことが、自分にとっても周りの人にとってもプラスになるよ」
その言葉が、ストンと腑に落ちました。
実際にやってみて気づいたこと
すぐに実践してみました。
「このタスクの目的は何か」「求められる粒度はどれくらいか」を自分なりに整理し、10〜20%の完成度のたたき台を作って先輩と関係者に確認の場を設けました。
「こんな未完成のものを見せていいのか」という戸惑いはありました。
でも実際に確認してみると、目的・段取り・粒度のそれぞれに、自分と相手の間で少しずつ認識のズレがあることがわかりました。
特に印象的だったのは粒度のズレです。
私は詳細な数値まで落とし込もうとしていましたが、関係者が求めていたのはプロジェクト全体の進行状況をひと目で把握できるシンプルな表でした。
完成形まで作ってから確認していたら、大幅な作り直しになっていたはずです。
タスクに入る前の「短い一手間」が、手戻りをなくす
この経験を通じて気づいたのは、「10〜20%で確認する」とは、ただ答えを求めに行くことではないということです。相手の期待について問いを立て、自分なりの仮説を整理した上で真剣に向き合う必要があります。
その姿勢があって初めて、確認が意味を持ちます。期待値のすり合わせとは、相手への質問ではなく、自分の仮説の検証です。
今でも実践を重ねています。繰り返すたびに精度が上がっていくのを感じます。
「早く動く」より「正しく動く」方が、最終的には早く仕上げることができる。
それを体で理解できた経験でした。
いつか、クライアントに「安心して頼れる」と思ってもらえるPM/PMOになるために、今日も一つずつ経験を積み上げていきます。