「このメンバーでなければ無理だった」数十億、最大150名規模のプロジェクトを完遂した3人が振り返る

JQ NOTE プロジェクト振り返り
今回振り返るのは、数十億円・最大150名規模・開発期間2年におよぶ、BtoC向けスマートフォンアプリの開発プロジェクトです。JQはベンダーの開発計画を立案し、推進するPM(プロジェクトマネージャー)チームとして参画しました。

チームメンバーは4人。そのうちの3名がJQのプロパー社員でした。福本さんはプロジェクト初期からPMとして全体を管理・進行し、小林さんは設計フェーズから1つのサブチームを約1年半担当。佐藤さんは内部結合テストの中盤から加わり、テスト工程を中心に約10ヶ月間支えました。

全員が別々の役割で一つのプロジェクトに向き合い、無事にリリースまで完遂させています。
その裏側で何が起きていたのか、3人に語ってもらいました。

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初のプロジェクト参画で、レベルの高さを知る

福本さん:小林さんはJQ入社後初のプロジェクトでしたが、設計フェーズから一つのサブチームをほぼ一人で回してもらいました。最初に大変だったのは要員の調整ですよね。
10人必要なところに8人しかいない、スキルセットが不十分なメンバーも多い。

見積もりの段階からWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)を組んではいても、なかなか予定通りに進まない。事実を確認してリプランを組み直す、地道ですがとても大事な役割を担ってもらいました。

小林さん:最初の予定から人が足りず、どんどん遅延していく状況でした。
優秀な方には少し重めに、軽いタスクは若手や経験の浅いメンバーに、とチーム内でやりくりしながら、途中の人員補充で挽回していきました。

福本さん:全体で見れば、小林さんの領域の遅延はそこまで大きくなかったんです。
事実確認をしてリプランを組めば十分リカバリーできると見ていました。そして、小林さんは人間力をうまく生かしてリカバリーしているな、と思いましたね。遅延リカバリという局面でも、メンバーに精神的な負荷をなるべくかけず、「頼むよ」と自然に頼める。相手も、自然とそれを受け入れてくれる。そんな雰囲気を常に作れる個性も存分に活かしているように感じていました。

小林さん:初めてJQで担当したプロジェクトでそう言ってもらえると嬉しいですね(笑)。
今回いちばん驚いたのは、福本さんの事実の取り方でした。情報の種類と質と量が全然違う。
自分なりに整理して見てもらうと、抜け漏れがあったり、無意識に結論に近い事実だけを集めてしまっていたり。

福本さんはそれが一切なく、客観的に事実を整理したうえで結論を導いていました。
「突っ込まれたらこう返す」というシミュレーションまでして説明される。
プロジェクトマネジメントに求められるスキルやレベル感は、規模が変わると次元がまったく違う。過去のプロジェクトでは我流でやってきたので、それを痛感しました。

絶体絶命の場面が嘘のように進んだホットライン

小林さん:絶体絶命だったのは、やっぱりテストフェーズかなと。
実装が始まってから日々バグが積みあがり、さらに開発拠点が複数に分かれていている。
社内リソースも動かしづらいし温度感も伝わらない。正直、間に合わないんじゃないかと心配していました。

福本さん:テストフェーズはかなり炎上していましたね。
テストをしても進まない、そもそもどうテストするんだ、という状態です。
そこに入ってもらったのが佐藤さんでした。まず驚いたのが、1週間ほどで「この人に頼れば大丈夫だ」という安心感を周囲に与えたこと。進捗会議での一つひとつの積み重ねで信頼を勝ち取っていきました。

小林さん:佐藤さんが入った瞬間のことは、よく覚えています。
当時は遠隔拠点とオンライン会議をしていたのですが、佐藤さんが自己紹介で話し出して数分で、向こうの拠点から「すごい人が来た」とダイレクトメッセージが届いたんです(笑)。
そこからテストが一気に動き出しました。

佐藤さん:入ったのがテスト工程の中盤あたりで、全体像は把握しているものの、内部結合テストで出てくるのは細かい仕様やバグに関する話ばかり。
点の理解で判断しないといけないが、炎上している状況を正しく捉えきれていない。

何を改善すればいいのか、本当に悩みました。だから、安易に「できます」とは言わないんです。「これはさすがに無理だ」ときちんと提言する。入ったばかりの頃は、正しいと思うことをはっきり言うので「うるさい奴だ」「怖い」と思われていたと思いますが(笑)。
でも、誰かが言わないといけないこともあるのは事実です。

福本さん:その「はっきり言う」が、結果的にいちばん大きかったんです。
PMとして入ると、みんな私に気を使ってくれる。でも佐藤さんは私にも遠慮なく意見を言う。
それを見た周りのメンバーが「佐藤さんに言えば福本まで届く」と気づいて、現場の本音や悪い情報が私のところまで届く道筋ができた。

テストが技術的に進んだこと以上に、この縦のラインができたことがプロジェクトを動かしたと思っています。それまでこの道筋を作れていなかったのは、私自身の反省点でもあります。

プロジェクトの完遂を経て思う「このメンバーでなきゃ無理だった」

福本さん:だから「このメンバーでなかったら無理だった」は、確実にイエスです。
小林さんが一つのチームを抑えてくれたから、私は本当に炎上しているところに集中できた。
もし小林さんの領域まで炎上していたら、さすがに手が回らなかったと思います。

そこに佐藤さんが入って、テスト全体に推進力が生まれただけでなく、現場の本音が私まで届くようになった。それがなければ、クオリティを担保してのリリースはできていなかったかなと。

佐藤さん:正直、他の座組を評価する材料はないので比べようがないのですが、誰一人欠けてもできなかっただろう、とは私も思います。福本さんは一般的なPMよりもかなり広い範囲を見ていました。私が何でも判断を投げられたのも、福本さんが迷わず意思決定をどんどん返してくれるからなんです。その信頼があったから、私は現場の事実を拾って正しく報告することに集中できた。
役割分担がきれいに切れていたからこそ、それぞれが自分の領域に集中できたのだと思います。

小林さん:役割が切れていたのは、私も外から見ていて感じました。
佐藤さんが入ってからは、佐藤さんが現場の事実を全部拾って福本さんに投げ、福本さんがすぐに意思決定して前に進める、その構造ができた。だからテストが一気に動き出した。

正直に言えば、周りが口々に「佐藤さんはすごい」と言うので比較されて辛い時期もありましたが(笑)、私のチームのみんなが「小林さんも助かっています」と言ってくれて救われましたし、むしろ私自身が、2人の力を心から欲しいと思っていました。

佐藤さん:私から見れば、小林さんも一人で本当によく回していましたよ。他のメンバーもすごく信頼していて、「小林さんがいないとチームが機能しない」という空気でした。
それに、助けられていたのはお互いさまです。

小林さん:いや、むしろ助けてもらったのは私のほうです。
自分が気づく前に、お二人はもう「これは後で問題になる」と先回りして手を打っていた。
後になって「あの時のあれは、このためだったのか」と気づくことが何度もありました。

佐藤さん:プロジェクトマネジメントは、結局リスクを拾い続ける仕事ですからね。何かが起きてから対応するとなった時点で、計画はもう破綻している。だからできるだけ早め早めに手を打つ。それを3人がそれぞれの持ち場でやっていた、ということなんだと思います。

プロジェクトの最中に成長する、2年でそれぞれ学んだこと

福本さん:このプロジェクトで学んだことも、それぞれ違いますよね。

小林さん:資料の作り方も会議の進め方も、何もかも学びでした。
特に痛感したのは、前提や条件をきちんとインプットしたうえで考え、決めることの大切さです。当たり前のようですが、そのレベルと深さ、量が全然違った。前提が甘いと途中で破綻して、信頼も失ってしまう。あとはメンバーとの向き合い方ですね。

最初は立場上どうしても上から締めるやり方になって関係が良くなかったのを、
途中から一人ひとりのバックボーンを聞いて、コミュニケーションの取り方を変えました。
そうすると悪い情報も上げてもらいやすくなったんです。

佐藤さん:私は二つあって。一つは、一般の生活者が使うアプリ開発の経験がほとんどなかったので、この規模のBtoC開発は貴重な経験になったこと。もう一つは年齢差のマネジメントです。
私が44歳で、現場は20代前半が中心。かなり差がある中で、どういう距離感でチームを一つの目的に向けるのか、ずっと悩みました。落ち着いたのは、一人ひとりと向き合って会話し、声を聞くというオーソドックスなやり方でした。

結局、プロジェクトマネジメントは人と人のマネジメントだと思うんです。
進捗管理や課題管理はお作法で、ロジカルシンキングも当然必要。
ただ本質は、バラバラな方向を向いた人たちを同じ方向に繋ぐこと。
この規模になると、できる人が何人か頑張ればなんとかなるものでもありません。
全体の熱量を上げる、心に火をつけることが要る。そこは泥臭くみんなと会話して積み上げるしかなくて、AIには代替できない部分だと思っています。

福本さん:私は、人を信頼して任せること、そして割り切ることですね。
もともと全部把握したい性格なんですが、この規模では無理でした。失敗しても任せる。
そのうえで、うまくいかなかったときに自分がどこまでリカバリーできるかのバランスを見る。
それをこの規模で初めてやれたのは大きい。

あとはアプリ開発自体が初めてで、QCD(Quality/Cost/Delivery:品質・コスト・納期)の考え方の違いも実体験になりました。システム開発と違い、品質よりも納期を優先する場面がある。頭で分かっていても、体験して腹落ちした部分です。

完遂から数ヶ月を経て、いま思うこと

福本さん:私自身は、達成の高揚感というより安堵が大きかったですね。リリース直前に打ち上げをしたのですが、一抹の不安を抱えたまま、台風の前の静けさのような時間でした(笑)。

佐藤さん:終わってみると、ロス感がすごくあります。
普段お手伝いするのはクライアント側で、企画や事業開発の段階が多く、規模も小さめ。
これだけの規模で、みんな危機感がある中でも「もう少し頑張ろう」という熱量でやっていた。
その温度差に、まさにロスを感じます。

小林さん:私も寂しいですね。今は別の現場で、そこはこの案件より相談相手が少ない状況です。
そのような状況で、「福本さんや佐藤さんならどう判断するかな」と考えながら日々過ごすことも多く、本当に勉強になったなと実感しています。

福本さん:最後まで信頼してやり切った人は、自分にとって特別です。
信頼できる人が増えたのは良かったし、今度は新しい案件でこのメンバーと立ち向かおう、となったら、心強い。もう一度、一緒に働きたいなと思いますね。

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