推進・管理をわかったつもりでいた
当時の私は、テストの推進・管理とはつまり「計画通りにテストが進んでいるかを確認すること」だと考えていました。
テスト実施者として、テストを計画通りにこなすことを業務として行ってきた経験から、テストの推進・管理の仕事も、ただテストが計画通りに進んでいるかを確認するだけの仕事と思っていたのです。
テストケースはすでに作成済みでしたし、スケジュールも決まっていました。
なので、あとはそれに沿ってテストが進んでいるかを確認すればいい、と。自分がテストの推進にどう貢献できるかという視点は、正直なところ、まだ持てていませんでした。
先輩から教わった自分の役割
そんなタイミングで、先輩が声をかけてくれました。
先輩から言われたのは、「テストを止めない」と「テストを効率的に進める」の二つを目的にテスト推進・管理を行ってほしいということです。
テストの管理者はテストの実施者とは違う。最初に整備したテストの計画や手順にとらわれず、常に2つの目的を意識して、状況に応じてより効率のいいテストの進め方を模索していくことが重要だと言われました。そして、それこそがテストを推進・管理するということであり、自分たちがプロジェクトに貢献できる方法だと。
正直、この時はピンと来ませんでした。「より効率のいい進め方」と言われても、テストケースはすでに作られています。それをあとから変更することの方がよっぽど非効率なのでは、と思いました。
日々のテストの中で、少しずつ意味が分かってきた
初めは先輩の言葉を理解できなかった私ですが、実際にテストの推進・管理の仕事を進める中で、少しずつその意味を理解できるようになりました。
テストは(もちろん他の工程も)、計画通りに作業が進むとは限りません。
例えば入力画面で不具合が発生した場合、後続の確認・完了画面へ遷移できなくなり、想定した順序でテストを進められないことがあります。
また、テストケース作成時には想定できていなかった挙動(必要なデータを毎度入れなおす必要があるなど)が発覚し、当初の進め方では非効率になるケースもありました。
こうした場面に直面したときに、不具合の影響を受けない画面のテストを優先したり、できるだけ少ないデータでテストができる方法がないかを探ることができました。
そうできたのは先輩の言った「テストを止めない」と「テストを効率的に進める」という目的が頭にあったからです。もし先輩の言葉が無ければ、計画通りにいかなかったのだから仕方ないと、
ただただ遅延を受け入れるだけになっていたかもしれません。
目的を意識することで、初めて正しい判断ができる
この経験から、私は目的を意識することの重要性を学びました。
テスト実施など手順が決まっている作業は目的を意識しなくても進められます。しかし、自ら判断して動くべき立場になった時、「何をすべきか」の判断の拠り所になるのは目的です。
テストは計画通りにいかないことが多いので、コントロールする人がいなければすぐ止まってしまいます。テスト推進・管理とはまさにそのコントロールを担う役割であり、先輩の教えてくれた目的はまさに、コントロールを行う際のガイドラインとなるものでした。
自分の役割は何か、何を達成すべきなのか、について自分で答えを出すのは難しいです。その時はわからないままにせず、上司や先輩と認識を合わせれば良いと思います。
判断を求められる立場では、目的が明確でなければ動けません。逆に言えば、目的を正しく理解することが正しい判断につながります。
自分で考えて動ける人間であるために
「目的を意識せよ」ということは、今も上司や先輩から言われ続けています。今も完璧にできているわけではありません。
常に意識しなければ、いつの間にか目の前の作業に気を取られて、「あれ、この作業は何のためにやってるんだっけ?」と、その先にある目的を忘れてしまうことがよくあります。
そのくらい、目的を意識することは難しいと感じています。しかし、それでもやり続けることで、少しずつ癖づいていくものだと考えています。
同じ作業をしていても、「なぜこれをやるのか」を答えられる人は、状況が変わったときにも応用が利きます。目的を意識して行動することが、自分で考えて動ける人間になるために最も近道といえる方法だと思います。