ITプロジェクトにおいて必要な役割の全体像
そもそもシステム開発やサイト制作を伴うような、ITプロジェクトでは大きくどんな作業が必要でしょうか?
JQでは以下のような整理をしています。
本来は、業務側の実務(チェンジマネジメントなど)もあるのですが、煩雑になるため、開発側の作業にフォーカスします。
- 開発実務
- 要件定義
- 設計
- 実装・テスト
- 移行
- プロジェクトマネジメント実務
- 計画
- プロジェクト計画
- マスタースケジュール、プロジェクト体制・役割分担、各種管理方針など
- 各工程の計画
- 週次スケジュール、工程体制・役割分担、工程の各種管理ルールなど
- プロジェクト計画
- 管理、運営
- 進捗管理や課題管理、品質管理など
- 会議運営やドキュメント管理など
- コスト管理や調達管理など
- 推進(課題解決やリスク分析・対策)
- 計画
※プロジェクトマネジメント実務の内訳については、以下の記事を参照ください。
プロジェクトマネジメントって実際何をするのか( https://www.j-q.co.jp/jq-note/knowledge01/ )
冒頭にでてきた、プロマネ経験者のAさん、Bさん、Cさんがどの作業を担っていたのか、またなぜその作業を担っていたのかを、プロジェクトの規模という分析観点から、見ていきたいと思います。
※以下に記載するプロジェクトの規模は、大まかな目安だと思ってください。
プロジェクトの規模によるプロマネの役割の違い
人によってプロマネとしてやっていたことが違う。
この違いが生まれる大きな要因の1つがプロジェクトの規模だと思います。
(なお、プロマネの出自、スキルセットというものももう1つ大きな要因になりますが、ここでは割愛します)
プロジェクトの規模によって、プロジェクトの体制が変わります。
小さいプロジェクトは少人数でやっていきますし、大きいプロジェクトは大人数でやっていきます。
小さいプロジェクト(予算規模が数千万円以下)
予算規模が数千万円以下のプロジェクトの種類としては、例えば、
- 新規として、
- CMSを使った動的なWebサイトの制作
- ちょっとしたWebサービスやスマホアプリの開発
- 社内Webツールの開発、ツール的なSaaSの導入
- 保守として、業務システムの保守案件などがあると思います。
この場合、多くても10人程度で開発体制をとることが多い印象です。
そして、Web制作会社や中堅・小規模なSIerが開発を担うことが多いかと思います。
また開発期間も、1年ということはあまりないと思います。数カ月から半年程度でしょうか。
これらの案件では、プロジェクト計画書や工程計画書をしっかり作るというよりも、短期間ということもあり、WBSを作って、スピーディーに開発を進めていくことが多いと思います。
こうなってくると、プロマネは、そこまで計画や管理に労力を割く必要もないということもあるのと、少人数なので、1人1人の作業範囲が広くなることもあり、プロマネが要件定義作業も行うこととがあります。
保守案件だとプロマネが要件調整して、作業者に設計(改修)、実装をふるというのはよく見かけます。
冒頭のプロマネ経験者のAさんは、おそらくこのようなプロジェクトでプロマネをやられていたのだと思います。
Aさん:「顧客の要件を聞いて、WBSを作って、エンジニアに指示をする役割をしていました」

大きいプロジェクト(予算規模が数億円以上)
予算規模が数億円以上のプロジェクトの種類としては、例えば、以下のようなものがあると思います。
- ある1つの基幹システムの刷新プロジェクト
- 基幹システムとつながるようなスマホアプリやWebサービス、ECサイトの構築・刷新プロジェクト
この場合、20~50人程度で開発体制をとることが多い印象です。
そしてこの規模では、制作会社よりは中堅か大手のSIerが開発を担うことが多いと思います。
開発期間は、1年から2年くらいのことが多いかと思います。
これらの案件では、数カ月で終わらないのと、開発体制も、顧客側の関係者も多くなるので、プロジェクト計画書や工程計画書をしっかり作る必要があります。
そして関係者が多くなるので、進捗管理や課題管理、品質管理などの管理実務も、会議運営やドキュメント管理などもしっかりやる必要があります。
WBSについてはPMOが作るケースもあれば、プロジェクトリーダーが作るというケースもあると思います。
実際の作り方はチームリーダーにベースと作ってもらって、プロジェクトリーダーまたはPMOがそれをとりまとめて、整合を取って、最終化するという流れが多いかと思います。
このように、プロジェクト規模が大きくなってくると、プロジェクトマネジメント実務の作業量が多くなるので、プロマネが要件定義も含めてやります、とはなりづらいです。
プロマネだけでなく、進捗管理や課題管理、会議運営などを行うPMOも必要になります。
冒頭のプロマネ経験者のBさんは、おそらくこのようなプロジェクトでプロマネをやられていたのだと思います。
Bさん「プロジェクト計画を立てたり、工程ごとの計画を立てていました。進捗管理はPMOにお願いしていました」

お飾り的なプロマネがいるケース
この規模のプロジェクトの場合、中堅から大手のSIerが開発を担うと述べましたが、これらの会社のプロジェクト体制を見ると、プロマネ=役職者という体制にしているのをよく見かけます。
この時、役職者がプロマネなので、計画などの実務らしい実務をするわけではなく、どちらかというとお金の管理や状況把握くらいの役割を担うことが多いです。
冒頭の例でいくとCさんですね。
Cさん「私の役割は主に顧客に要員計画だして、予算調整して、契約することでした。実務はPLに任せていました」

プロマネという役割でなく、どんな実務をしていたかで判断しよう
世の中、プロジェクトマネージャーを募集している会社は多いと思います。
しかし、上記の整理のように、プロマネ経験していますといっても、プロジェクトの種類や体制によって、その経験値はまちまちです。
まずは、自社で採用するプロマネには、どのくらいの案件規模で、どんな実務をしてもらいたいのか、これを明らかにすることが重要です。
- 要件定義もやってもらうような小回りの利くプロマネが欲しいのか
- しっかり長期に渡す計画をたてられるプロマネがほしいのか
そのうえで、面接のときに、「どのくらいの案件規模で、どんな実務を担われていたのですか?」と聞くようにしましょう。
これを行うことで、採用のミスマッチを防ぐことができるのではないでしょうか。