PM、PL、PMOの違いとは?技術とマネジメント

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監修者・ライター情報

下田 幸祐

JQ 代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒業後、アクセンチュアを経て株式会社JQを設立。大手企業の新規事業の戦略立案、スマホアプリや大規模システム開発のプロジェクトマネージャーを歴任。AI・IoTを活用したサービス開発などのDX案件、デジタルマーケティング基盤構築、大規模開発案件に実績多数。自社Webサービスの企画・開発・運営も行う。著作に「本当に使えるDXプロジェクトの教科書」(共著/日経BP社)。記事執筆、公演も多数。

「PM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)にはどのような違いがあるのだろう?」「このプロジェクトって、実質PLが仕切ってるよな。PMって何しているんだろう?」ITプロジェクトに携わったことがある方は、このような疑問や疑念を持ったことはないでしょうか。

これまでPMとPMOの違い、PMとPOの違いについて解説してきましたが、今回はプロジェクトリーダー(PL)の役割と、他の役割との違いに焦点を当てます。

ITプロジェクトのマネジメント層とその役割

ITプロジェクトには複数のマネジメント層が存在し、それぞれが異なる役割を担っています。JQでは、この役割分担を明確にすることが、プロジェクトを円滑に進行するために不可欠だと考えています。
JQでは、呼称ではなく、仕事内容でそれぞれの役割を定義することにしています。PM、PMO、PLの役割分担は以下のようなものと考えます。

  • PM:プロジェクト全体の計画実務と推進実務を担当
  • PMO(プロジェクトマネジメントオフィス):プロジェクト管理・運営実務を担当
  • PL(プロジェクトリーダー):開発実務のリード、計画・推進・管理実務のサポートを担当

開発実務とは

PLの役割を説明する上で、開発実務について説明しておく必要があります。ITプロジェクトは、基本的には何かのシステムを開発するプロジェクトですので、計画や推進、管理・運営といったマネジメントの実務以外に、要件定義書や設計書を作り、実装し、テストをするという、開発作業そのものを行う実務があります。これを開発実務と呼びます。

開発チームとPLの関係性

開発実務は、チームにわかれて行います。
新規サービス系開発であれば、フロントチームとバックエンドチーム、インフラ・アーキチームにわけたりします。
業務システム開発であれば、業務の分類ごとにチームを分けたりします。

それぞれチームリーダーが配置されますが、PLはこのチームリーダーを取りまとめるポジションです。

PLの主要な役割

PLは開発実務におけるリーダーとして、以下の2つの主要な役割を担います。JQでは、この開発実務におけるリーダーシップが、PM/PMOのマネジメント業務を補完する重要な役割だと考えています。

開発実務リード

PLの最も重要な役割は、開発チーム間の要件、設計、実装、テストの整合性を確保することです。なお、標準作成については、アーキテクトと呼ばれる人が対応するケースもあります(正確にはアーキテクチャ的な部分はアーキテクト、アプリケーションの仕様に関わる部分はPLという分担です)。

設計標準等の作成(アプリ仕様面):

  • 例)フロントとバック、共通機能間の機能分担案、共通設計ルールの作成
  • 例)複数の業務チーム間での機能分担案、共通設計ルールの作成
  • 例)レビューポイントやテストケース標準などの作成

チーム間の要件・仕様の整合性確保:

  • 例)フロントチームが開発する画面とバックエンドチームが開発するAPIの対応関係や、機能分担、項目の整合性チェックなど(画面-API対応表を作成するなど)
  • 例)アーキチームの提供する共通機能とバックエンドチームの機能の整合性チェック
  • 例)複数の業務チーム間での仕様の統一感のチェック

テストフェーズにおける横断的分析・チェックによる品質向上:

  • 例)テストフェーズでの複数機能にまたがる不具合の横断的な分析
  • 例)不具合パターンの分析とチーム横断でのテスト品質向上施策立案

計画・管理実務のサポート

PLはPMが行う計画実務の一部であるWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)作成や課題解決等の推進実務、PMOが行う進捗管理等の管理実務においても、重要な役割を果たします。

計画実務のサポート:

PMはプロジェクト全体のスケジュールや工程ごとの週次スケジュールを作成します。
WBS作成については、各作業の所要時間を正確に見積もることが重要なため、現場感覚を持っている必要があり、開発現場に近いPLが担当することがあります。

ーPLがWBSを作成する理由:

  • 作業の難易度や所要時間の正確な把握
  • 技術的制約や作業の依存関係の適切な考慮
  • チームメンバーのスキルや負荷のバランス調整

プロジェクトの体制によって、WBSを誰がどう作るかは変わってきます。

  • PLがいる場合
    • PM:プロジェクト全体の年次/月次スケジュールと工程ごとの週次スケジュールを作成
    • PL:チームリーダーにWBS作成を指示、取りまとめて、チーム間の整合を取る
    • TL(チームリーダー):各チームのWBSを作成
      ※TLがいない場合は、PLがWBSを作成します
  • PLがいない場合
    • PM:プロジェクト全体の年次/月次スケジュールと工程ごとの週次スケジュールを作成
    • PM or PMO:チームリーダーにWBSの作成を指示、取りまとめて、チーム間の整合を取る
    • TL:各チームのWBSを作成

推進実務のサポート:

プロジェクト全体の課題解決やリスクの対策においても、PLの支援が必要になります。

  • プロジェクト全体課題の解決
    例えば、システム間の開発スコープがあいまい、という課題を解決するためには、機能やデータの仕様を俯瞰的に理解している必要があります。PMももちろん把握している必要はありますが、細かいところはやはりPLに聞く必要があります。
  • プロジェクト全体リスクの検知と対策
    例えば、あるチームの遅延が著しくなってきたとします。この時に、該当チームのリーダーはリカバリに必死なので、この先の予測がしづらくなっています。PLは開発現場のリーダーとして、現場の状況を具体で理解し、このままだとどうなるか分析できます。また、PMが対策を講じるためのインプットを提供します。

管理実務のサポート:

  • 進捗管理:
    進捗状況の整理はPMOが担当しますが、遅延発生時のリカバリ見込みなどはチームリーダー、またはPLが検討します。
  • 課題・リスク管理:
    PLは課題・リスクの抽出、内容の補足、優先度付けなどにおいて、PMOに必要な情報をインプットします。
  • 品質管理:
    PLは指摘や不具合の内容の補足、優先度付けなどにおいて、PMOに必要な情報をインプットします。また、対応内容の妥当性を、横断的な目線でチェックします。
  • 変更管理:
    PLは起票された変更を分析し、どのチームが影響分析をするべきかの分担を考えます。また、対応工数の妥当性を、横断的な目線でチェックします。

プロジェクトの規模のPLの配置

PLの配置はプロジェクトの規模と複雑さに大きく依存します。

小規模プロジェクトの場合:

  • PM、またはPMOがPLの役割も兼任する場合が多い
  • チーム数が少なく、整合性確保の必要性が低い

大規模プロジェクトの場合:

  • チーム数が増加し、PLの配置が必要になる
  • PM、PMOが計画・管理の整合性を確保
  • PLが要件・仕様の整合性を確保

プロジェクトが大きくなるほど、チーム間の整合性を確保するためのPLの役割が重要になります。PMが全体を見渡す一方で、PLが内容の整合性を確保することで、プロジェクト全体の効率性と品質が向上します。

まとめ

PM、PL、PMOの違いは、それぞれの役割と責任範囲によって決まります。

PM:

  • プロジェクト計画実務
  • プロジェクト推進実務

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス):

  • プロジェクト管理実務(進捗管理や課題管理など)
  • プロジェクト運営実務(会議運営、ToDo/QA管理など)

PL(プロジェクトリーダー):

  • 開発実務のリード
  • 設計標準
  • チーム間の要件・仕様・実装・テストの整合性確保
  • テストフェーズにおける横断的分析・横ぐしチェックによる品質向上計画実務のサポート
  • 計画実務のサポート
  • WBS作成
  • 推進実務のサポート
  • プロジェクト全体課題の紐解きのための内容面のインプット
  • プロジェクト全体リスクの検出と対策のためのインプット
  • 管理実務のサポート
  • 進捗管理における遅延のリカバリ見込みのインプット等
  • 課題・リスク管理における内容面のインプット
  • 品質管理における内容面のインプットとチェック
  • 変更管理における分担整理とチェック

PLは「開発現場のリーダー」として、チームリーダー、エンジニアたちを取りまとめて、内容面の整合性確保を行い、PMやPMOのサポートをしながら、現場を動かしていきます。プロジェクトの規模が小さい場合は、PLの役割をPM/PMOが果たしますが、プロジェクトの規模が大きくなるほど、PLを立てることで、より効果的にプロジェクトの進行ができるようになります。

ご相談・お問い合わせ プロジェクトの要件が明確でなくても問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。