国内資本規制対応を実現した、ミッションクリティカルなリスク管理システム改修
私がJQで担当したプロジェクトの中で、特に「やって良かった」と感じているのは、現在進行中の大手生命保険会社のERMシステム(統合リスク管理システム)改修プロジェクトです。
このプロジェクトは、金融庁が導入する新しい規制の枠組みに対応するものでした。従来の簿価ベースでのリスク量計測から、経済価値、すなわち時価ベースの規制に変更するという大きな対応が求められていました。既存の簿価ベースのシステムはありましたが、そこに新しく時価ベースの考え方を大きく組み込む必要がありました。
プロジェクトのミッションは、新しい規制に応じたリスク量の計測システムを実装することでした。具体的には、市場リスクや信用リスクなど、様々なリスクの計測を決められた期間内に完了できるシステムを構築することが求められていました。また、70種類ほどある保有資産について、6種類のリスクに応じて正しく計算し、その結果を金融庁に報告する資料を作成することもミッションに含まれていました。
国の規制への対応ということで期限は待ったなしの状況で、さらに機能を落とすこともできないため、かなりギリギリの時間の中でプロジェクトを進める必要がありました。システムで実装できることが望ましく、かつそれが正しく計算されるところまで全てセットで実現する必要がありました。
私はお客様の情報システム部の社員代替という立ち位置で、プロジェクト全体の管理を支援しました。進捗、品質、リスク、障害などの様々な管理業務に加え、PMO(Project Management Office:プロジェクト管理オフィス)業務として運営や推進の支援も行いました。お客様のPMの右腕として、二人三脚で推進していくという役割でした。
JQからは私を含めて複数のメンバーが参画し、チームでプロジェクトを支援しています。
複雑な課題を乗り越えプロジェクトを完遂させられた理由
このプロジェクトには、いくつかの大きな困難がありました。
最大の困難は、JQが今まで関わっていない組織との仕事だったことです。お客様の情報システム部には数多くの組織がありますが、我々は従来とは異なる部門との仕事になったため、人もシステムの中身も業務そのものも、最初から分からない状態でスタートしました。
さらに、経営からはリスク管理が最重要領域と位置づけられており、ここを落とすわけにはいかないという、絶対失敗が許されないプロジェクトでした。
私たちが参画する前の要件定義工程でかなり苦戦していたことから、経営やユーザーサイドからの注目度は非常に高く、情報システム部としても最優先プロジェクトとして進めていく必要があるということで、JQのプロジェクトマネジメントノウハウを買っていただき、外部設計から参画することになりました。
要件定義については、国の規制対応とはいえ一定の猶予や選択肢が各企業に与えられており、必ずやらなければいけないマスト事項とベター事項が含まれていました。限られた予算と期間の中で何をシステム化していくのかという優先順位付けや、どこまでやるかというライン決めを要件定義でしっかり詰める必要がありました。そこがまだ十分に整理できていなかったため、実質的には要件の再確認から着手しました。
制度要件のためエンドが決まっており、最後のリリース本番稼働日はずらせないプロジェクトでした。手を入れることになっても、スケジュールを大きく見直すことはできず、元々決まったスケジュール通りに進めなければいけない中で、なんとか外部設計、内部設計、開発、UT(Unit Test:単体テスト)と予定通り進めていくことができました。現在は総合テスト実施中ですが、品質としてもかなり良好で、予定通り決められた本番稼働日に間に合う見込みが立っています。
醍醐味は、誰の何のためにやっているのかを常に追求できること
私にとってのプロジェクトマネジメントの醍醐味とは、誰かが考えてくれたり、誰かから指示を受けたりする仕事ではなく、自分で考え、自分で判断し、その判断した方針に沿ってプロジェクトチームをリードしていくことにあります。
すごく難易度は高いですし、責任もすごく重い仕事ではありますが、その分、色々と苦労した分、目標を達成した時に感じる達成感というのは何事にも代えがたいものです。これはプロジェクトマネージャーをされている皆さんも、同じように感じていらっしゃるのではないでしょうか。
もう一つの醍醐味は、プロジェクト全体を見渡すことができることです。大規模プロジェクトでは、特定の領域やシステム、機能といったプロジェクトの一部分で仕事をすることが多く、自分のやっている仕事がプロジェクト全体にとって誰のどういう課題にフィットしているのか、何のためにやっているのかが見えづらいものです。
しかし、プロジェクト全体をマネジメントして、たくさんのいろんなユーザーやパッケージのベンダー、開発メンバーなど、いろんなステークホルダーと対峙していくことで、自分のやっていることがどういう課題解決に貢献しているのかがすごく見えやすくなります。そのため、やりがいやモチベーションが非常に高い状態になるというのが、PMの醍醐味だと思います。
私が常に大切にしているのは、「誰の何のためにやっているのか」ということです。自分が所属している会社のためでも、フェイスしている情報システム部の人たちのためでもなく、実際にシステムを使うユーザー、現場のユーザーが業務を遂行していく上で「このシステムを使って良かった」「こういうシステムが欲しい」と思ってもらえるシステムを作っていくことが重要です。
できることをしてしまうとか、面倒くさいから、難しいから、リスクがあるからしないといった方向に逃げがちですが、そうすると「このシステムって本当に使い勝手いいのかな」と自問自答する時があり、モチベーションが下がってしまいます。
そんな時に立ち戻るべきは、我々が作っているシステムは、こういう人たちが使うためにあって、そういう人たちにとって便利だな、助かったなと思ってもらうために、お金をかけて開発しているということです。そこをぶれずにやっていくというのが、自分の中でのモチベーションになっています。
プロジェクトマネージャーが、本質的な課題解決に集中できる場所
私にとってJQは、PMの醍醐味を存分に味わえる場所だと感じています。
JQの最大の特徴は、大手のSI会社と違って、ものすごく大きなプロジェクトを担当することはあまりなく、中小規模のプロジェクトを担当するケースが多いことです。しかし、それがむしろプロジェクト全体を俯瞰的に見渡せる立ち位置と役割でマネジメントができるため、特定の領域だけ担当したり、特定の役割だけを担ったりするアサインと比べると、プロジェクトのライフサイクルで立ち上げから最後のリリースまで一気通貫で携わることができます。
また、プロマネやプロマネ補佐という役割で、お客様の上位層、意思決定をできる方や、実際の現場ユーザーとの接点が、多分他の会社さんと比べても多いのではないかと思います。業務的なところはもちろん、お客様の上位層が何を考えているのかという、普段は開発の中ではなかなか学べないところも学ぶことができます。それがすごく自分の成長につながっていると感じています。
お客様から一定程度評価いただけると、お客様の中での次年度の計画や中期計画の検討の一員として参画させていただくこともできており、いわゆる超上流と呼ばれている工程の経験を積むこともできます。実際に今もそういう役割で、計画の立案をリードしていくJQのメンバーもいます。
私が新卒で大手SIerの元で20年近くSEとしてずっと仕事してきた中では、基本設計から最後のリリース直前ぐらいまでしか役割として担えませんでした。もっと上流の計画立案や要件定義といった工程を経験したい、ユーザーの顔が見える仕事をしたい、プロジェクト全体を見渡せる立ち位置で仕事がしたいと感じて、成長機会を求めて転職を重ねてきました。
これまでの会社では、お客様にとって意義や意味があると思ったとしても、自社にとってリスクがあるとかメリットがないという判断をされると、なかなかそういうところにアプローチしていくことができず、モヤモヤする気持ちがありました。見えない壁があったと思っています。
JQでは、顧客に寄り添って顧客プロジェクト成功のために力を注げることができ、すごく魅力を感じています。やりがいもありますし、ストレスがなく、この年になってもまだまだ成長の機会があると感じられる会社です。
案件の規模だけを求めない人、プロジェクトを立ち上げるところから計画を立てるところから、それを実際に形にしていって最後に本番稼働してユーザーが使うまでの全体に関与でき、それを見渡せるポジションでお客様と一緒に、場合によってはお客様を逆にリードするような立ち位置でプロジェクトをマネジメントしていきたい人には、すごくいい会社だと思います。
また、自分の成長に対して貪欲で、常に成長したい、成長機会を求めているような人には、ものすごくやりがいのある会社です。JQは売上や規模をいたずらに求めないので、いい意味で理想主義だと私は感じています。やりたいことや本当にやって面白そうなことを素直に応援してくれて、支援してくれているので、それを使って自分の力を試してみたいという人には、ものすごくおすすめです。当然責任も伴いますが、その分やりがいもある会社だと思います。