「課題を整理して1つ1つ解決していく、情報のハブとして全体を把握する」JQシニアマネージャー神嶋さんが語るPMの醍醐味

JQ NOTE PMの醍醐味
プロジェクトマネジメント会社「JQ」にて、現在シニアマネージャー兼複数の大規模プロジェクトを牽引する神嶋さん。

新卒で大手IT企業に入社しプログラマーとしてキャリアをスタート、25年間にわたり製造業のお客様向けに生産管理・販売管理システムの基幹システム開発に従事。プログラマーからSE 、プロマネ、グループリーダー、部長として部下の育成や採用まで幅広く経験を積み重ねた後、2022年JQに参画。以降、スマホアプリやWebアプリ開発、大規模基幹システム刷新プロジェクトをはじめ、多様な技術領域に係る数多くのプロジェクトをリードし続けています。

そんな神嶋さんが過去印象に残っている「やれて良かった」と思えるプロジェクトが、大手物流会社の分散システム統合による会員基盤・アプリ統合プロジェクトです。

今回はそのプロジェクトを振り返りながら、改めて神嶋さんにとってのPM(プロジェクトマネジメント)の醍醐味とは何か?について紹介したいと思います。

監修者・ライター情報

神嶋 大介

JQ プロジェクトマネジメント事業部 シニアマネージャー

分散した複数サービスを統合し、DX基盤構築を実現した600人月プロジェクト

私が担当したプロジェクトの中で、特に「やって良かった」と感じているのは、JQ入社後初めて参画した大手物流会社の複数サービス統合プロジェクトでした。

このプロジェクトのテーマは、お客様が運営していた複数の会員サービス(EC用会員、物流用会員など)とスマホアプリを一本化し、新たな統一会員基盤とスマホアプリを構築することでした。それまでお客様の中でシステムが分散して持たれていた状況を、会員情報、スマホアプリ、店舗タブレット、データ分析という4つの領域でまとめ上げる大規模な統合プロジェクトでした。同時に、従来のオンプレミス環境からクラウドサービスへの移行も見据えた、まさにお客様のDX推進の中核を担うプロジェクトでもありました。

プロジェクト規模は2022年から約1年半の期間で総工数600人月、開発チームはピーク時で70名、お客様側のマネジメント含めて30名、合計約100名が参加する大規模なものでした。私は開発会社側のPMOリーダーという肩書きでした。実態はプロマネ的に、お客様との調整、計画の策定、プロジェクトの管理、推進とプロジェクトマネジメント全般を担当していました。

このプロジェクトは4つの主要サブシステムから構成され、それぞれが相互に連携する複雑な構造でした。私が参画したのは基本設計フェーズから約1年で、まず店舗タブレットを稼働させ、その後3ヶ月スパンで会員基盤とスマホアプリをそれぞれ本番稼働させる段階的なアプローチを取りました。各システムが相互に関連しているため、本番稼働している中で、新しいシステムを組み込んでいく本番切り替え作業には、想定以上に様々な検討と課題の解決が必要でした。

結果として、会員基盤サービスについては約1ヶ月の稼働時期遅延が発生したものの、4つのサブシステムすべてを本番稼働させることができました。稼働後は大きな長時間停止トラブルもなく安定稼働を実現し、お客様・開発会社双方との信頼関係を構築できたことで、現在も継続してサービスのエンハンスや拡張案件を受託している状況です。私自身にとっても、前職で扱っていた基幹システムとは異なる一般ユーザー向けのWebサービスやスマホアプリの経験を積むことができ、PMスキルの幅を広げることができたプロジェクトでした。

山積みの課題を体系的に整理し、100名規模のプロジェクトを完遂に導いた方法

このプロジェクトは、いくつかの点で難しさがありました。

まず、私が参画した時点では、要件定義を約3ヶ月、基本設計を2ヶ月進めた段階でしたが、あまりうまく進んでいない状況でした。残課題が多数あり、それが整理されていない中で設計作業を並行して進めなければならない、非常にタイトなスケジュールからのスタートでした。

課題の体系的整理を最初に実施しました。課題自体は把握されていましたが、それぞれが関連し合っており、どの順番で解決していかないと前に進めないかという整理ができていませんでした。すべての課題を一度洗い出し、課題間の関連性を整理し、解決の優先度を明確にして、どういう順番で解決していくかというロードマップを作成することから着手しました。

進行面でも課題がありました。開発会社側は技術力はかなりあるものの、大規模なウォーターフォールプロジェクトの推進やプロジェクト管理といった部分については経験が限られていたため、JQとしてそのPM機能を補完する役割を担いました。私自身はプログラムを書けるわけではありませんが、各技術的課題や不具合の内容をできるだけ理解し、それをお客様のマネジメント層に対して説得力を持って説明するよう心がけました。

さらに、100名規模のプロジェクトでは、常時20~30個のタスクが並行して動いており、それぞれ異なるスキル、立場、責任を持つメンバーが関わっています。エンジニア、お客様、お客様のマネジメント層といった目線や立場が違う人たちに対して、情報共有して進めていくことが求められました。私は情報のハブとしての機能を重視し、技術的な仕様から進捗状況、課題の解決策まで、必要な情報を私のところに集約し、それを適切に整理した上で、各関係者の立場や理解レベルに応じて説明するというアプローチを取りました。

加えて、想定外の課題が発生した際の軌道修正も重要でした。技術的な課題や進捗的な課題が発生した際の、お客様への報告において課題の原因と影響を詳細に分析し、納得していただける説明を行うことを徹底しました。本番稼働の時期をずらすことになった際も、お客様に納得していただき、お客様側でもちゃんとリソースを準備していただいて進めることができました。このプロセスを通じて学んだのは、課題を隠すのではなく、1つ1つ乗り越えていけるよう、適切な情報提供と解決策の提示によって関係者全員の理解と協力を得ることの重要性でした。

醍醐味は、情報のハブとして全体を把握し、プロジェクトをゴールに導くこと

私にとってのプロマネの醍醐味とは、プロジェクト全体を俯瞰的に見据えながら、一つ一つの課題を整理して解決していき、最終的にゴールを達成できるところに皆を導けることです。

規模の大きなプロジェクトでは、ゴールは明確に設定されており、皆がそれを達成するために動いていきます。しかし、そのゴールを達成するための計画や道筋をちゃんと立て、プロジェクト全体を見た時に正しくゴールに向かっているかを常に確認することがプロマネの役割だと考えています。当然、途中で想定外のことはたくさん起きますが、それを軌道修正しながら進めていく過程で、一人ではできない調整や合意形成を、エンジニア、お客様、お客様のマネジメント層といった関係者を巻き込みながら進めていき、最終的にゴールを達成できるところに導けることに深い満足感を感じます。

特に印象深いのは、情報のハブとしての機能です。100名規模のプロジェクトでは、技術的な仕様からビジネス的な要件まで、必要な情報が私のところに集中してきます。「この人に聞けば解決策や情報を持っている」という状況になることで、プロジェクト全体を把握し、全体最適の視点から個別の課題に対応していくことができます。目線が違う、立場の違う人たちをうまくまとめていくという点で、マネジメントレベルには俯瞰的な説明を、技術者には詳細な内容を示すなど、それぞれに適した形で情報を伝達し調整していくことができます。

また、ゴールを見据えて計画を立てる際には、その計画が実現可能で説得力があるかどうかが重要です。これは単なる学習だけでは身につかない部分で、これまでの経験から培った感覚や判断力が活かされる領域だと思います。プログラムの不具合や課題の中身をできるだけ知って、それを正しく説明できるよう努めることで、「だからこそこういう方法で進めなければならない」という道筋を明確に示すことができた時に、自身の役割をやり切ったという静かな達成感を得ることができます。

プロマネの醍醐味を存分に味わえる、自由度と成長支援が両立した環境

JQは、プロジェクトマネージャーの醍醐味を存分に味わえる環境だと考えています。

前職の大手IT企業と比較すると、意思決定のスピード感が大きく異なります。前職では提案や一定の金額・規模感の案件を進める際、社内プロセスを回すのに約1ヶ月かかっていましたが、JQでは自分がこうやりたい、こう思うという提案を1週間程度、早ければディレクターに相談してすぐお客様に持っていけるというスピード感があります。会社規模の違いは当然ありますが、これは単なるプロセスの省略ではなく、JQのディレクター陣が持つ豊富な経験値に基づいて、今やろうとしていることにどれくらいリスクがあるかを的確に判断してくれるからこそ実現できています。

一方で、完全に自由放任というわけではありません。私がやっている内容について、ディレクターの方々が技術的詳細まで理解してくれており、何か困ったことがあればサポートしてくれる体制があります。具体的な事例として、現在担当している大規模基幹システム刷新プロジェクトで、テスト段階での品質分析手法について相談した時のことがあげられます。ディレクターがどういうアーキテクチャでシステムを構築しているか、どういう機能を作っているかを理解しているからこそ、項目間の整合性の分析視点がある、データのライフサイクルの分析視点があるなど、本当に具体的で実践的なアドバイスをいただくことができました。

また、成長できるシステムも体系的に整備されています。私のような経験者はある程度の規模のプロジェクトでプロマネとして参画していますが、若手は必ず経験を持ったプロマネのプロジェクトに配置され、その経験豊富なプロマネの配下でリーダーや小規模なプロジェクトを任されていく仕組みがあります。成長に対しての道筋をちゃんと見せてくれる環境で、段階的に責任を拡大していくことができます。一方で、私自身にもメンバーを育成していくミッションがあります。自分たちがお客様に対して責任を持ってサービス価値を提供するために、任せられるメンバーを育て、優秀なメンバーや若手をつけて成長させる機会を作っていくことも私の重要な役割です。

JQが最適だと感じるのは、自分で考えて自分で「こうやりたい」ということを発信していける人です。ある程度自由にやらせてもらえる環境ですが、受け身の姿勢では厳しい面もあります。自分で考え行動しようとした時に的確なアドバイスをくれる人たちがいる環境は、個人として自分の価値を発揮して動いていきたい人にとって最適な場所だと思います。大企業のような組織の一員としての制約が少なく、個人として自分の専門性を磨き、お客様に価値を提供していくことに集中できる環境がここにあります。

ご相談・お問い合わせ プロジェクトの要件が明確でなくても問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。