「大きな目標に向けて多様なメンバーをリードし、実現していく達成感」JQシニアマネージャー伊藤さんが語るPMの醍醐味

JQ NOTE PMの醍醐味
プロジェクトマネジメント会社「JQ」にて、現在シニアマネージャーとして活躍する伊藤さん。

新卒で大手商社に入社しシステム部門に配属、その後転職してITコンサルタントとして活躍。2017年にJQに参画し、一度外部でキャリアを積んだ後、2025年1月に再びJQに戻ってきました。基幹システム開発から構想策定、BtoC向けプロダクト開発、スマホアプリ開発まで、幅広い工程と領域で数多くのプロジェクトをリードし続けています。

そんな伊藤さんが過去印象に残っている「やれて良かった」と思えるプロジェクトが、2020年頃に携わった大手企業の音声系スマホアプリリニューアルプロジェクトです。

今回はそのプロジェクトを振り返りながら、改めて伊藤さんにとってのプロジェクトマネジメントの醍醐味とは何か?について紹介したいと思います。

監修者・ライター情報

伊藤 駿介

JQ プロジェクトマネジメント事業部 シニアマネージャー

若年層獲得と音声コンテンツ体験向上を実現した、大規模アプリリニューアル

私が担当したプロジェクトの中で、特に「やって良かった」と感じているのは、2020年頃に携わった音声系スマホアプリのリニューアルプロジェクトでした。

このアプリは既に10年以上の歴史を持ち、700万人という巨大な利用者規模を誇っていました。しかし、他の競合サービスが次々と登場する中、大きなユーザー基盤を抱えているがゆえに大胆な変更をしづらい状況が続いていました。ステークホルダーも多く、合意形成に時間がかかることから、なかなか変更に踏み切れずにいたのです。

結果として、他社が新しいサービスを展開する中、若年層の獲得とライトユーザーの継続率向上が喫緊の課題となっていました。

そこで立ち上がったのが、若年層のニーズも踏まえたUI/UX変更と継続率向上を狙うリニューアルプロジェクトです。私はJQからプロマネとして参画し、プロジェクト全体をリードする役割を担いました。

このプロジェクトでは、これまでのような運営側が一方的にコンテンツを提供するという体験から、ユーザーの行動に基づくレコメンドを通じて様々なコンテンツに触れる機会を増やすという、双方向のユーザー体験への変更を目指しました。

音声系アプリとして、一般消費者のニーズを取りこぼすことなく、多様な機能を搭載することで、競合優位性を確立することが大きなミッションでした。

結果として、プロジェクトは3年間という長期にわたりましたが、無事に大型アップデートを完遂し、アプリとWebサイトの同時公開を実現できました。当初の目標だった若年層獲得とユーザー体験向上を実現し、レコメンド機能による多様なコンテンツへの接触機会も大幅に増加させることができました。

さらに、開発体制の内製化支援まで手がけました。クライアント内でエンジニアの採用から開発組織の立上げ、継続的な運用体制の確立まで担いました。プロジェクト終了時には、クライアント側で自立した開発・運用が可能な体制を構築し、真の意味でプロジェクトを完遂させることができたと思います。

このプロジェクトを通じて、大規模なユーザー基盤を持つサービスのリニューアルという高難易度の案件を、複雑なステークホルダー環境とリモート環境という制約の中で成功に導けたことは、プロマネとしての大きな自信となりました。

複雑なステークホルダー環境下で、大規模プロジェクトを完遂させた方法

このプロジェクトは、いくつかの点で難しさがありました。

まず、ステークホルダーマネジメントが非常に複雑でした。プロジェクトの意思決定ライン以外の方の発言力が強く、アプリの大方針にも意見を頂く状況が発生しました。それらの意見を受けて、アプリの方針を大きく転換する場面もありました。

この状況に対しては、最終判断はクライアントが行うという明確な意思決定ラインを確立したことで、後からの変更要求を大幅に減らすことができました。

次に、コロナ禍によるフルリモート環境での運営が大きな課題でした。プロジェクト開始から終了まで、一度も対面で会わずに進行したメンバーもいるほど、基本的にSlackやWebミーティングでしかコミュニケーションが取れない状況でした。

対面での会話ができないため、誰がどんな作業をしているかが見えづらく、顔が見えない分言葉がとげとげしくなってしまったり、朝のミーティングに参加しないメンバーが出てきたりと、チーム運営に深刻な支障をきたしました。また、苦手なタスクを後回しにしがちなメンバーや、作業内容が見えにくくなるという問題も頻発しました。

この問題には、非常にきめ細やかな個別対応で対処しました。朝起きない・ミーティングに来ないメンバーに対しては、Slackで連絡を入れると一応反応はするため、そのタイミングで個別にフォローを行いました。ミーティング中で合意形成できなかった部分については、私が追加のミーティング時間をたくさん作って個別のミーティングを設定し、一人ひとりの意見を丁寧に回収していく作業を継続しました。

タスクを快く受け取ってもらえない場合には、その必要性を丁寧に説明し、時には「今抱えている別のタスクを削るので、新名にしかできないこのタスクをやって欲しい」という交渉をしながら、メンバーのモチベーション維持に努めました。結果的に、きめ細やかに拾いに行くアプローチを継続することで、チーム全体を前に進めることができました。

そして、スマホアプリ開発が初めての経験だったことも私自身にとっての大きな挑戦でした。WebアプリとはAppleやGoogleへの審査プロセスも異なり、テストアプリの配信方法なども全く知らない状態からのスタートでした。エンジニアは全員経験者でしたが、プロマネレイヤーでは経験者がいなかったため、自分で一から学習し、実際に使いこなせるレベルまで習得する必要がありました。

これについては、エンジニアメンバーとの会話を通じて知識を吸収し、実際の作業を通じて習得していくしかありませんでした。

さらに、プロジェクト途中で大きな方針転換が発生しました。当初は既存アプリとは別の新しいアプリを開発する予定でしたが、PoC(Proof of Concept:概念実証)用に作成したモックアプリのUI/UXが評価され、統合する方向に変更されました。2ヶ月かけて作成したものをベースにしつつも、全く異なる規模とスコープのプロジェクトに転換することになり、スケジュールも1年延長となりました。

しかし、この方針転換をポジティブに受け止め、より良いユーザー体験を実現できる機会として捉え、チーム全体の方向性を再統一することで、混乱なく進めることができました。

醍醐味は、大きな目標を定義し、多様なメンバーをリードして実現していくこと

私にとってのプロマネの醍醐味とは、大きな目標を定義してそれに沿った計画を立て、多様なメンバーをリードしながら実現していくことで得られる、大きな達成感と自信だと考えています。

まず、プロジェクトに関わる人数が多くなればなるほど様々な意見が出てきますが、全員が同じ方向を向けるような羅針盤的なものを作り上げることの重要性を強く感じています。そしてそれを、プロジェクト全体を通じて言い続けることで、チーム全体の結束を維持することができます。

次に、現実味のある計画立案の重要性です。漠然と線を引くだけではなく、本当にやりきれる現実的な計画を立て、状況の変化に応じて柔軟にアップデートしていく姿勢が不可欠です。計画は立てて終わりではなく、生きた文書として常に進化させていく必要があります。

そして、単なる管理者ではなく、周りを巻き込んで自分も一緒に課題を解決していく姿勢を取ることで、チームからの信頼を獲得することができます。そのためには、エンジニアと会話できるレベルの知識を身につけ、丸投げではない管理を心がけることが重要です。

私は常に、プロジェクトで起こる全てのことは自分の責任であるという意識で取り組んでいます。このマインドセットを持つことで、メンバーや外部要因への不満を抱くことなく、淡々とプロジェクトを前進させることができると感じています。

頭から尻尾まで、要件定義からリリース、そしてエンハンスまで全工程を完遂し、自分が関わったサービスを世に出す瞬間に立ち会えた時の達成感は、何物にも代えがたいものでした。

プロジェクトマネージャーが、領域の制約なく成長できる場所

JQは、プロマネの醍醐味を存分に味わえる環境だと考えています。

最も大きな特徴は、領域を狭めることなく幅広い分野を担当できることです。私自身、基幹システム開発、スマホアプリ、現在はインフラ領域と、様々な技術領域を経験させていただいています。大手企業にいると組織の歯車としての役割に限定されがちですが、JQでは小さな組織であっても先頭に立って自分の責任でプロジェクトを回していくことができます。

この環境こそが、プロマネとしての成長を加速させる最大の要因だと感じています。

また、非常にプロフェッショナルなディレクターが在籍しており、社内の研修資料も体系的に整備されています。40人程度の組織規模だからこそ実現できる距離の近さがあり、直接的に学べる機会が豊富に用意されています。コンサルティングファームでもナレッジや優秀な人材は存在しますが、プロマネのポジションとして全体を見渡せる立場に立てる機会は限られています。

JQでは、体系的な知識と実践的な経験を同時に積むことができる環境が整っています。

石橋を叩いて渡るような慎重さと、体系的な方法論が確立されているため、不確実性が適度にコントロールされた環境でプロジェクトに取り組むことができます。これは、プロマネとして安心してチャレンジできる土台となっています。

私が一度外部に出て再びJQに戻ってきた理由も、この体系的な環境の価値を改めて実感したからです。他社では得られない、プロマネとしての成長機会と学習環境がここにはあります。

プロマネという職種の特性上、自分から先頭に立ってチームやプロジェクトを回していくことを好む人、特定の領域に限定されることなくスキルの幅を広げたい人にとって、JQは最適な環境だと考えています。システム開発において上流から下流まで全体を理解し、工程全体を見渡せるプロマネとしてのスキルを身につけたい方には、これ以上ない成長の場を提供できると確信しています。

ご相談・お問い合わせ プロジェクトの要件が明確でなくても問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。