激しく輻輳する不動産会社大規模ECサイト全面リニューアルプロジェクト

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背景

ある大手不動産会社では、長年運営してきたECサイトの売上規模の拡大とユーザー体験向上を目指し、全面的な刷新をすることになりました。サイト全体のデザインやUI/UX(UserInterface/UserExperience:ユーザーインターフェース/ユーザー体験)の改善、顧客接点の拡大、購買行動の最適化など、あらゆる側面での見直しを行い、単なるECサイトだけではなく、マーケティング機能も持つ複合的なプラットフォームとしての再構築を目指しました。

プロセス

プロセス1:開発フェーズでの並走管理と課題解決

私がフロントエンド開発ベンダーのプロジェクトマネージャーとして、プロジェクトに参画したのは、開発フェーズにおける詳細設計工程からでした。開発フェーズは内部結合テスト完了までの9か月間にあたります。
参画当初は、計画はあってないような状態でした。マルチベンダーで大規模に開発している以上、要件を確定して進める必要がありますが、クライアント側のPMO(ProjectManagementOffice)は保留事項を先送りにする傾向があり、「並走させれば後続影響はない」と、楽観的な判断を繰り返していました。そのため、基本設計の未確定事項がたくさん残っている中で、開発を進める必要がありました。結果的に、リプランを2〜3回することになりました。さらに、様々な変更について、ベンダーの当初請負スコープなのか、はたまた追加請求対象のスコープなのか、という整理も必要で、とても大変でした。

大変ではありましたが、この一連のプロセスを通じて、どんな困難も、しっかりと事実を並べ、整理することによって課題解決できることを学びました。複雑な状況でも、事実の整理、評価・解釈、対策という順序でシンプルに考えることで、推進できるようになりました。

プロセス2:マルチベンダー体制での外部結合とリリース管理

開発フェーズ後の11ヶ月間は、外部結合テスト、システムテスト、UAT(UserAcceptanceTest:ユーザー受入テスト)での不具合修正、そして初回サイトの本番リリースまでを担当しました。この段階では、フロントエンドとバックエンドだけでなく、複数のベンダーが関わるマルチベンダー体制での調整が最大の課題となりました。

私自身、マルチベンダー体制での開発は初めての経験でした。多くの経験豊富なSIerの方々がいる中で、フロントエンドの代表として対等に議論を交わすため、事前準備を徹底的に行いました。会議で話す内容に対して必要な知識を整理し、自領域の情報をしっかりと把握することで、大きな問題なく進めることができました。

プロセス3:複数フェーズの並行管理と適応力の向上

最終フェーズの4ヶ月間では、2つ目のサイトの総合テスト・リリースと、1つ目のサイトの保守・エンハンスを並行して進めました。2つのサイトのリリースのための資材管理、そして各サイトの開発・テストの進捗管理、品質管理、変更管理など、かなりのマルチタスク状態での推進が求められました。

クライアントは「並走させることが好き」という特性があり、常に複数の案件を同時に進行させていました。開発、テスト、保守、エンハンスという全く異なるフェーズを同時に管理することは本当に大変でしたが、状況に適応して、柔軟に考える力、横断的に物事を把握する力は磨かれ、視野も広がったと思います。

様々な取り組みの結果として、プロジェクト終了時の引き継ぎまで、約2年間にわたるプロジェクトを完遂させることができました。新しいメンバーへの引き継ぎも無事完了し、現在も運用・エンハンスフェーズとして継続されています。このプロジェクトを通じて、プロジェクトマネジメントのスキルアップもできましたが、それ以上に、リーダーシップとチームビルディングの重要性も学ぶことができました。

結果

前述のとおり、プロジェクトは無事、リリースを迎えることができました。またリリース後も大きな障害も発生していません。特筆すべきは、参画当初から、開発と仕様確定が並行で動き、またその後もマルチベンダー体制でのテスト、複数案件の同時進行と常に複雑な状況下でプロジェクトを推進する必要があったところ、その複雑さにしっかりと向き合い、ロジカルに、柔軟に対応できたところだと思います。

プロジェクトの成功要因として、以下の点が挙げられます。

  1. 瞬発力のあるチーム構築:若手中心のフロントエンドチームが、リリース後の不具合対応で驚異的な対応力を発揮し、クライアントの信頼を獲得したこと。
  2. ファクトベースの問題解決:複雑な状況をファクトの整理・評価・解釈・対策という手順でシンプルに解決する手法を確立したこと。
  3. リーダーシップの発揮:チームメンバーが自主的に動ける環境を作り、同じベクトルで進める組織文化を醸成したこと。

結果として、売上向上という最終目標についてはまだ道半ばですが、目指していた複合的なマーケティングプラットフォームとしてのサイトは完成し、今後のマーケティング施策やエンハンスによる改善の土台が整いました。このプロジェクトで得たどんな複雑な状況でも紐解く力とリーダーシップ、チームビルディングの経験は、今後のプロマネキャリアにおける財産といえると思います。

ご相談・お問い合わせ プロジェクトの要件が明確でなくても問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。